妊活を続けているけれど、なかなか結果が出ない──。
そんな時、食事やサプリメントの見直しで注目したい栄養素の一つがビタミンAです。
「ビタミンAは目や皮膚に良い栄養」というイメージが強いかもしれませんが、実は妊娠に必要な体の働きに深く関わっています。卵子や精子の質、子宮内膜の環境、そして免疫バランスの維持まで、多方面から妊娠しやすい体づくりをサポートしてくれるのです。
本記事では、妊活におけるビタミンAの効果や不足・過剰のリスク、体内での代謝の仕組み、安全な摂取方法までをわかりやすく解説します。
「何となく知っている」から「正しく活用できる」へ──。あなたの妊活にビタミンAの力をプラスしましょう。
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ビタミンAが妊活で重要な理由
妊活においてビタミンAは、単なる栄養素ではなく「妊娠力の土台」を支える存在です。
活性型であるレチノイン酸は、細胞の働きを直接コントロールし、卵子や精子の発育から着床までの各ステップをサポートします。
卵子・精子の質を守る
ビタミンAは、卵胞の発育や卵母細胞(卵子)の成熟を促し、受精しやすい質の高い卵子をつくる手助けをします。
また、精子の分化や成熟にも関与し、形態や運動性を改善する効果が報告されています。
排卵や黄体機能を整える
ビタミンAは排卵のスムーズな進行や黄体ホルモン分泌を助け、妊娠が成立しやすい周期を作り出します。
抗酸化作用で酸化ストレスから守る
卵巣や精巣は酸化ストレスの影響を受けやすく、これが卵子や精子の質低下につながります。
ビタミンAは抗酸化物質として細胞を守り、DNAの損傷や老化を防ぐ働きがあります。
ビタミンAと粘膜免疫の関係
妊娠の成立には、生殖器の健康だけでなく、免疫バランスの維持も欠かせません。
特に、子宮や腸といった「粘膜組織」の免疫機能は、外からの病原体を防ぎ、着床や妊娠維持を助けます。ビタミンAは、この粘膜免疫の要として働きます。
粘膜バリア機能の維持
ビタミンAは粘膜上皮細胞の健康を保ち、物理的なバリアと免疫的なバリアの両方を強化します。
不足するとバリア機能が低下し、感染症や炎症のリスクが高まります。
IgA抗体産生促進による感染防御
活性型のレチノイン酸は、腸や呼吸器の粘膜でIgA抗体の産生を促します。IgAは病原体の侵入を防ぎ、免疫の安定を保つ重要な役割を持っています。
免疫寛容と炎症抑制
妊娠の維持には、過剰な免疫反応を抑えて受精卵を異物とみなさない「免疫寛容」が必要です。
ビタミンAは調節性T細胞(Treg)の働きを促進し、炎症を抑えながら免疫バランスを保ちます。
腸粘膜免疫と妊活の関係
腸内環境は全身の免疫に影響を与えます。ビタミンAは腸粘膜の免疫細胞の教育やバリア機能をサポートし、腸内フローラの安定化にも寄与します。これが間接的に生殖器の健康にもプラスに働きます。
子宮内膜とビタミンA

妊娠のためには、卵子と精子が出会って受精するだけでなく、受精卵が着床できる子宮内膜環境が整っていることが重要です。ビタミンAは、その環境づくりに欠かせません。
子宮内膜の細胞分化と増殖を促す
活性型ビタミンAであるレチノイン酸は、子宮内膜の上皮細胞や間質細胞の分化・増殖を調節し、周期的な再生や厚みの維持を助けます。これにより、着床しやすいふかふかの内膜を作ります。
粘膜バリア機能のサポート
子宮内膜は粘膜組織の一種です。ビタミンAはこの粘膜バリアの構造と免疫防御を維持し、細菌やウイルスの侵入を防ぎます。
免疫環境の安定化
内膜における免疫細胞のバランスは着床成功率に直結します。ビタミンAは炎症を抑えつつ、着床を妨げない免疫環境を作る働きがあります。
子宮内膜炎と妊娠への影響
慢性的な炎症は内膜の質を低下させ、着床率や妊娠継続率を下げます。
ビタミンAの不足は炎症を悪化させる要因になりうるため、適切な摂取が重要です。
ビタミンA不足が妊活に与える影響(女性編)
不足すると、卵巣や子宮の働きが低下し、妊娠しやすい体づくりが難しくなるのがビタミンAです。
卵巣機能の低下
ビタミンAは卵胞の発育や卵子の成熟に必要です。不足すると卵巣の働きが弱まり、排卵がスムーズに行われなくなることがあります。
卵子の質低下
酸化ストレスが高まると卵子のDNA損傷や老化が進みます。ビタミンAの抗酸化作用が不足すれば、このダメージから卵子を守る力が落ちます。
着床障害
子宮内膜の厚みや質が低下し、受精卵が着床しづらくなります。免疫環境の乱れも着床率を下げる原因となります。
早発卵巣不全(POI)のリスク増加
ビタミンA不足は卵巣予備能(AMH値など)の低下とも関係があり、早発卵巣不全のリスクを高める可能性があります。
(引用)
In summary, the combined weight of published data presents a strong case for the action of RA in triggering germ cell entry into meiosis. In particular, the block in meiotic progression in males and females as a result of dietary vitamin A insufficiency provides unequivocal evidence for the requirement for RA to complete this crucial biological process.
(和訳)
要約すると、発表されたデータの総合的な重みは、RA(レチノイン酸)が生殖細胞の減数分裂への移行を誘導する作用を強く示唆している。特に、食事性ビタミンA欠乏症の結果として雄と雌における減数分裂の進行が阻害されることは、この重要な生物学的プロセスを完了するためにRAが必要であることを明確に示す証拠となる。(出典)
Michael D. Griswold, Cathryn A. Hogarth, Josephine Bowles, and Peter Koopman. “Initiating Meiosis: The Case for Retinoic Acid.” Biology of Reproduction, published online before print 9 November 2011. DOI 10.1095/biolreprod.111.096610.
ビタミンA不足が妊活に与える影響(男性編)
男性の妊活においても、ビタミンAは欠かせない栄養素です。不足すると精子の生成から成熟まで、さまざまな段階で問題が生じます。
精子形成不全
ビタミンAは精巣での精子形成(精子発生)に必要な遺伝子発現をサポートします。不足すると精子の数が減る「乏精子症」や形成不全の原因になります。
精子成熟障害
未成熟な精子は運動性や受精能力が低く、妊娠率が下がります。ビタミンAが不足すると、成熟段階に必要な細胞分化が妨げられます。
無精子症のリスク
長期間の重度なビタミンA不足は、精子が全く作られない「無精子症」を引き起こす可能性があります。
精子の酸化ストレス増加
抗酸化作用が弱まることで精子のDNAが損傷し、受精や胚発育に悪影響を及ぼします。
ビタミンAの体内での濃度調節と妊活への影響
ビタミンAは、必要な時に必要な量だけ働くよう、体内で非常に精密にコントロールされています。この仕組みを理解すると、妊活における栄養管理の重要性が見えてきます。
レチノールの貯蔵と放出
食事から摂ったビタミンA(レチノール)は、肝臓にレチニルエステルとして貯蔵されます。必要に応じて血中に放出され、**レチノール結合タンパク質(RBP)**と結合して全身へ運ばれます。
レチノールからレチノイン酸への変換
レチノールは酵素(レチノールデヒドロゲナーゼ、RALDHなど)の働きで、活性型のレチノイン酸に変わります。この変換は組織ごとに調整され、必要な場所でのみ作用します。
レチノイン酸の分解とフィードバック
レチノイン酸はCYP26酵素群によって分解されます。濃度が高くなると、分解酵素の発現が促され、過剰な作用を防ぎます。このネガティブフィードバックが、妊娠に悪影響を及ぼす過剰症のリスクを抑えます。
妊活への関係性
この濃度調節が乱れると、卵子や精子の発育、子宮内膜の免疫バランスが崩れ、妊娠しやすさが低下します。特に肝機能の低下やタンパク質不足は、この調節機構に影響を与えるため注意が必要です。
ビタミンAの分解を妨げる要因と妊活への注意点
ビタミンAは過不足なく働くことが重要です。しかし、その分解や代謝を妨げる要因があると、体内濃度が高まりすぎ、妊活にも悪影響を与える可能性があります。
薬剤による酵素阻害
CYP26酵素はレチノイン酸の分解に不可欠ですが、一部の薬(例:チロシンキナーゼ阻害薬)がその働きを抑えることがあります。この結果、レチノイン酸が過剰に作用し、ホルモンや免疫バランスに影響が出る恐れがあります。
肝機能の低下
肝臓はビタミンAの貯蔵と分解を担う重要な臓器です。脂肪肝や慢性的な肝機能障害があると、分解能力が低下し、過剰症リスクが高まります。
栄養不足(特にタンパク質不足)
RBP(レチノール結合タンパク質)はタンパク質から作られるため、栄養不足はビタミンAの輸送や代謝に悪影響を与えます。
加齢やストレス
加齢により酵素活性が変化し、レチノイン酸の分解速度が変わることがあります。また、慢性的なストレスは肝機能低下や酸化ストレス増加を通じて代謝に影響します。
ビタミンAの粘膜免疫への関与と妊活への影響
ビタミンAは、免疫の最前線である粘膜組織の健康維持に重要な役割を果たしています。これは妊活にも密接に関係しています。
粘膜バリアの維持
子宮内膜や腸粘膜などの粘膜は、病原体の侵入を防ぐ防御壁です。ビタミンAは粘膜上皮細胞の再生や保護に関わり、このバリアを強化します。
IgA抗体の産生促進
レチノイン酸はIgA抗体の生成を促進し、腸や生殖器の粘膜で病原体の定着を防ぎます。これにより、感染症による妊娠率低下を防ぐことができます。
免疫バランスの調整
妊娠成立には「攻撃しすぎない免疫状態」が必要です。ビタミンAは調節性T細胞(Treg)の分化を促し、過剰な炎症反応を抑えて着床しやすい環境を整えます。
子宮内膜炎の予防
慢性的な子宮内膜炎は着床障害の原因になります。ビタミンAの免疫調節作用は、この炎症を抑えるサポートをします。
妊活におけるビタミンAの安全な摂取方法
妊活中は、ビタミンAを不足させないことが大切ですが、同時に過剰摂取にも注意が必要です。
推奨摂取量の目安
厚生労働省の食事摂取基準によると、成人女性の推奨量は1日あたり650〜700µgRAE(レチノール活性当量)です。妊娠後期はこれに+80µgRAE程度の追加が目安とされています。
食事からの摂取

- レチノール(動物性):レバー、卵黄、バターなど
- β-カロテン(植物性):ニンジン、カボチャ、ホウレンソウなど(体内で必要に応じてビタミンAに変換)
サプリメント利用時の注意
- サプリは過剰症のリスクがあるため、レチノール含有量を必ず確認
- 妊娠初期における過剰なレチノール摂取は胎児の先天異常リスクと関連があるため、必ず医師の指導を受けること
バランスが大切
ビタミンAの吸収・利用には、タンパク質や亜鉛など他の栄養素も関与します。妊活中は栄養バランス全体を意識することが重要です。
まとめ:ビタミンAで妊活をサポートするために
- ビタミンAは卵子・精子の発育、子宮内膜の環境維持、免疫バランスの調整に不可欠
- 粘膜免疫を強化し、感染症や炎症から生殖器を守る役割を持つ
- 体内ではレチノールとレチノイン酸が精密に濃度調節され、過剰や不足を防いでいる
- 肝機能低下や栄養不足、特定の薬剤はこの調節機構に悪影響を与える可能性がある
- 妊活中は不足も過剰も避け、食事中心で適量を摂取することが望ましい
ビタミンAは単なるビタミンではなく、妊娠に向けた体づくりのための「環境整備係」と言える存在です。正しい知識とバランスの取れた摂取で、妊活をより良い方向へサポートしましょう。
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【妊活ブログ執筆者】

〈資格〉
- 薬剤師
- 鍼灸師
- コウノトリ鍼灸師
- ONP認定栄養カウンセラー
- 睡眠健康指導士上級
- 婦人科セラピー協会会員
- 日本生殖医学会会員
- 統合医療生殖学会会員(旧子宝カウンセラーの会)











