「妊活 男性」と検索すると、最初に出てくるのは「亜鉛サプリ」や「精子を増やす食べ物」ではないでしょうか。たしかに亜鉛は、精子の材料として重要な栄養素です。でも、それだけで妊活がうまくいくなら、ここまで悩む人は多くないはずです。
実際に、私も今まで何人もの男性不妊の相談を受けてきたのですが、亜鉛サプリを飲んでいたけど精子の状態が良くない男性が多かったです。
実は、最近の研究でわかってきたのは、男性の妊活はもっと多くの要素に左右されるということ。たとえば、血流が悪いとせっかくの栄養も精巣まで届かないし、腸内環境が乱れていると栄養の吸収すらうまくいきません。ストレスや睡眠の質も、精子の元気に直結しています。
この記事では、亜鉛だけに頼らない「男性妊活の本質」について、医療の最新知見をもとにわかりやすく解説します。妊活で成果を出したいあなたにこそ、知っておいてほしい内容です。
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男性の妊活、なぜ「亜鉛だけ」では意味がないのか?
男性の妊活と聞くと、「亜鉛サプリを飲んでおけば大丈夫」と思っている人は少なくありません。
たしかに、亜鉛は精子の形成に不可欠なミネラルです。
けれども、最近の医療研究では「それだけでは足りない」という指摘が増えています。
ポイントは、体の“受け取る力”にあります。
精子の材料は届いていないかもしれない
サプリを飲めば、それがそのまま精巣に届いて精子を作ってくれる…そんなふうに考えていませんか?でも実際には、栄養素はまず腸で吸収され、血液を通じて運ばれ、ようやく精巣に届く仕組みになっています。
腸内環境が悪くて栄養をうまく吸収できなかったり、血流が滞っていて精巣まで栄養が届かなかったりすれば、どんなに良い成分でも意味がなくなってしまいます。
体の血の巡りが、精子の質を決める
精巣は、体の中でも特に血流の影響を受けやすい部位です。血の巡りが悪くなると、酸素や栄養の供給が不足し、精子の数が減ったり、運動する力が弱まったりすることがあります。
(引用)
With regard to the effects of environmental hypoxia on male infertility, chronic hypoxia induces a state of reversible oligozoospermia in healthy men . Previous studies on nonGA male rats indicated that chronic intermittent hypoxia reduces sperm motility and the sperm count in semen .
(和訳)
環境性低酸素症が男性不妊症に及ぼす影響に関しては、慢性低酸素症は健康な男性において可逆的な乏精子症を引き起こすことが報告されている。非GA雄ラットを用いた過去の研究では、慢性の間欠性低酸素症が精子の運動性と精液中の精子数を減少させることが示唆されている。
(出典)
Verratti V, Berardinelli F, Di Giulio C, et al. Evidence that chronic hypoxia causes reversible impairment on male fertility. Asian Journal of Andrology. 2008;10(4):602–606. doi: 10.1111/j.1745-7262.2008.00346.x.
精索静脈瘤という病気でも、血流障害が精子の質を低下させることが分かっており、手術で血流を改善すると精子の状態が良くなるという研究結果も出ています。
精巣が冷えないようにするだけでは足りない
妊活の情報でよく目にする「睾丸を温めすぎないように」という話も、間違いではありません。
けれども、それだけにとどまっていては、根本的な改善にはつながらないのです。
精巣の中で精子を作るには、ミトコンドリアが活発に働くことが必要です。
そのためにも、栄養と酸素がしっかり届く「めぐりのよい体」をつくることが、妊活の第一歩になります。
血流を悪くする「見えない要因」に気づく
血流の大切さはわかったけれど、どうして血の巡りが悪くなってしまうのでしょうか。
実は、その原因は目に見えないところにあります。
たとえば、日々のストレスや姿勢のクセ、腰の筋肉のこわばりなどが、血流の妨げになっていることがあるのです。
ストレスと交感神経の働きすぎ
ストレスを感じると、自律神経のうち「交感神経」が優位になります。
この交感神経は、体を緊張させる神経で、血管を縮める作用もあります。
長く続くストレスや、常に緊張した状態でいることが続くと、骨盤まわりの血管も細くなってしまい、血の巡りが悪くなってしまいます。
つまり、心のストレスがそのまま体の血流障害につながるということです。
腰の筋肉のこわばりが影響する理由
もうひとつの見えにくい原因が、腰まわりの筋肉の硬さです。
座りっぱなしの仕事や、姿勢の崩れが続くと、腰やお尻の筋肉がガチガチに固まってしまいます。
筋肉が硬くなると、そこを通る血管が圧迫されて血の流れが悪くなります。
特に骨盤周辺の血流が滞ると、その先にある精巣への血流も減り、精子づくりに影響が出てしまうのです。
最新の医学研究が示す「男性妊活の基本」
ここまで、血流や栄養の届け方について見てきました。
でも、男性の妊活に影響を与える要素は、他にもたくさんあります。
最近の医学研究では、「腸内環境」「睡眠」「食事内容」「生活習慣」などが精子の質に深く関係していることが明らかになっています。

腸の状態が精子にも影響する?
腸内環境が乱れると、栄養の吸収がうまくいかなくなるだけでなく、
全身の炎症やホルモンのバランスにも影響を与えます。
最近の研究では、「腸-精巣軸」といって、腸内細菌が精子の質やホルモンの分泌に影響しているという報告も増えています。
実際に、腸内環境を改善したことで精子の数や運動性が上がったという研究もあります。
妊活中は、腸の状態を整えることが大切なアプローチの一つです。
(引用)
Recent studies have demonstrated the significant influence of GM on sperm. Increasing research indicates an interplay between GM and the male reproductive system, highlighting its pivotal role in reproductive health (Hao et al., 2022; Yan et al., 2022; Jin et al., 2024; Li et al., 2022c; Li et al., 2024). Numerous studies have examined how GM impacts semen from dual perspectives (Ding et al., 2020; Lundy et al., 2021). On one hand, GM like Lactic acid bacteria, Bacteroidetes, and Ruminococcus (UCG011) can enhance sperm production, motility, and semen quality. (Fu et al., 2023).
(和訳)
近年の研究では、GM(腸内細菌叢)が精子に重大な影響を与えることが実証されています。GMと男性生殖器系との相互作用を示唆する研究が増えており、生殖に関する健康におけるGMの極めて重要な役割が浮き彫りになっています(Hao et al., 2022; Yan et al., 2022; Jin et al., 2024; Li et al., 2022c; Li et al., 2024)。多くの研究で、GMが精液に及ぼす影響について、二重の観点から検証されています(Ding et al., 2020; Lundy et al., 2021)。一方で、乳酸菌、バクテロイデス、ルミノコッカス(UCG011)などのGMは、精子の産生、運動性、そして精液の質を向上させる可能性があります(Fu et al., 2023)。
(腸内環境と精子に関する参照文献)
・Ding, N., Zhang, X., Zhang, X. D., Jing, J., Liu, S. S., Mu, Y. P., et al. (2020). Impairment of spermatogenesis and sperm motility by the high-fat diet-induced dysbiosis of gut microbes. Gut, 69, 1608–1619.
・Fu, Z. D., Wang, Y., & Yan, H. L. (2023). Male infertility risk and gut microbiota: a Mendelian randomization study. Frontiers in Microbiology, 14:1228693.
・Hao, Y., Feng, Y., Yan, X., Chen, L., Ma, X., Tang, X., et al. (2022). Gut microbiota-testis Axis: FMT mitigates high-fat diet-diminished male fertility via improving systemic and testicular metabolome. Microbiology Spectrum, 10:e0002822.
・Hao, Y., Feng, Y., Yan, X., Chen, L., Zhong, R., Tang, X., et al. (2022). Gut microbiota-testis axis: FMT improves systemic and testicular micro-environment to increase semen quality in type 1 diabetes. Molecular Medicine, 28:45.
・Jin, Z., Cao, Y., Wen, Q., Zhang, H., Fang, Z., Zhao, Q., et al. (2024). Dapagliflozin ameliorates diabetes-induced spermatogenic dysfunction by modulating the adenosine metabolism along the gut microbiota-testis axis. Scientific Reports, 14:641.
・Li, D., Li, Y., Yang, S., Lu, J., Jin, X., & Wu, M. (2022c). Diet-gut microbiota-epigenetics in metabolic diseases: from mechanisms to therapeutics. Biomedicine & Pharmacotherapy, 153:113290.
・Li, Y., Liu, Y., Chen, Y., Yao, C., Yu, S., Qu, J., et al. (2024). Combined effects of polystyrene nanoplastics and lipopolysaccharide on testosterone biosynthesis and inflammation in mouse testis. Ecotoxicology and Environmental Safety, 273:116180.
・Li, Y., Ma, H., & Wang, J. (2024). Effects of polycyclic aromatic hydrocarbons on the gut-testis axis. Ecotoxicology and Environmental Safety, 280:116539.
・Lundy, S. D., Sangwan, N., Parekh, N. V., Selvam, M. K. P., Gupta, S., McCaffrey, P., et al. (2021). Functional and taxonomic Dysbiosis of the gut, urine, and semen microbiomes in male infertility. European Urology, 79, 826–836.
・Yan, X., Feng, Y., Hao, Y., Zhong, R., Jiang, Y., Tang, X., et al. (2022). Gut-testis Axis: microbiota prime metabolome to increase sperm quality in young type 2 diabetes. Microbiology Spectrum, 10:e0142322.
睡眠の質とホルモン分泌の関係
「寝不足だけど、まあ大丈夫」と思っていませんか?実は、睡眠は男性妊活にとって非常に重要です。
なぜなら、夜に分泌される「メラトニン」というホルモンには、精子を酸化ストレスから守る強い抗酸化作用があるからです。
(引用)
Melatonin has been shown to protect sperm from oxidative damage, maintain sperm viability, reduce morphological abnormalities, and prevent DNA fragmentation.
(和訳)
メラトニンは、精子を酸化ダメージから保護し、精子の生存力を維持し、形態異常を軽減し、DNAの断片化を防ぐことが示されています。
(出典)
- Makris, A.; Alevra, A.I.; Exadactylos, A.; Papadopoulos, S. The Role of Melatonin to Ameliorate Oxidative Stress in Sperm Cells. Int. J. Mol. Sci. 2023, 24, 15056. doi: 10.3390/ijms242015056.
- Lavrentiadou, S.N.; Sapanidou, V.; Tzekaki, E.E.; Margaritis, I.; Tsantarliotou, M.P. Melatonin Protects Bovine Spermatozoa by Reinforcing Their Antioxidant Defenses. Animals 2023, 13, 3219. doi: 10.3390/ani13203219.
深くしっかり眠ることで、ホルモンバランスが整い、精子の質を守ることにもつながります。
食事が変われば、精子のDNAも変わる
普段の食事が、精子のDNAの状態にまで影響するって知っていましたか?
野菜や果物、魚、ナッツ、オリーブオイルなどを多く含む「地中海食」が、精子のDNA損傷を減らすという研究結果があります。
逆に、ジャンクフードや高脂肪食を続けていると、精子の形や運動力が下がり、DNAも傷つきやすくなる傾向があります。
肥満や飲酒・喫煙の影響は見逃せない
体重が重くなると、ホルモンバランスが崩れやすくなり、精子の数や質も悪化することがわかっています。
また、喫煙や過度の飲酒は、精子のDNAを傷つけたり、運動力を下げたりするリスクがあります。
「少しぐらいなら大丈夫」ではなく、今の自分の生活を見直すことが、妊活への第一歩です。
体質を整えると、妊活が変わる
妊活において、「体質」というキーワードは見落とされがちですが、非常に重要です。
たとえば、冷えやすい、疲れやすい、便秘しやすい、眠りが浅いといった日常の不調は、
すべて妊活にも影響してきます。

これらは、精子の質や数、運動性などに関係する“土台”の部分だからです。
ミトコンドリアの働きを高めるには?
精子は、ミトコンドリアという小さなエネルギー工場を動力にして運動します。
つまり、ミトコンドリアの働きが悪ければ、精子は目的地までたどり着けません。
ミトコンドリアが元気に働くには、栄養(特にビタミンB群や鉄、亜鉛など)と、酸素が必要です。
血流がよく、代謝の良い体質をつくることが、精子のパワーを引き出すカギになります。
炎症や酸化ストレスをどう防ぐか?
現代人は、知らず知らずのうちに「炎症体質」や「酸化ストレス」にさらされています。
加工食品やストレス、睡眠不足などがその原因です。
炎症が慢性的に続くと、精巣の環境も悪化し、精子のDNAが傷つきやすくなります。
抗酸化作用のある食材や、質の高い睡眠、腸内環境の改善は、このリスクを和らげるためにも有効です。
「なんとなく不調」を見逃さない
「病気ってほどじゃないけど、なんとなく体がだるい」「寝ても疲れがとれない」――そんな小さな違和感は、体質が崩れているサインかもしれません。
男性妊活では、こうした不調を早めに察知し、整えていくことが成功への近道です。
調子のいい体は、自然と精子の状態にも表れます。
まとめ
「妊活=亜鉛を摂ればいい」と考えていた方にとって、本記事の内容は少し意外だったかもしれません。
でも、最新の研究が示しているのは、男性の妊活が「体全体のコンディション」に深く関係しているという事実です。
血流がよくないと、栄養は精巣まで届きません。
腸内環境が乱れていれば、吸収もままなりません。
睡眠が浅ければ、抗酸化ホルモンは出ません。
つまり、妊活は部分的な対策ではなく、総合的な「体づくり」から始まるのです。
食事・運動・睡眠・ストレス対策――どれも地味で簡単ではないかもしれませんが、
続けることで確実に体は変わっていきます。
そしてその変化は、精子の質や量、動きにもつながっていきます。
妊活を始めるなら、まずは自分の体と向き合ってみる。
それが、いちばん確実で、いちばん早いスタートかもしれません。
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【妊活ブログ執筆者】

〈資格〉
- 薬剤師
- 鍼灸師
- コウノトリ鍼灸師
- ONP認定栄養カウンセラー
- 睡眠健康指導士上級
- 婦人科セラピー協会会員
- 日本生殖医学会会員
- 統合医療生殖学会会員(旧子宝カウンセラーの会)









